若くても歯周病になる? 侵襲性歯周炎について
2022.04.27こんにちはワンデイデンタルの平岡です。
今日は、歯肉が腫れました!と初診で来院された患者様のお話しをします。
その患者様はまだ20代でした。
プラークコントロールは比較的良好、非喫煙者、全身的健康で体格のいい男性でした。
ですがCTをとらせていただくと、年齢の割に奥歯の歯周病の進行度がきわめて高く歯の揺れもありました。
歯周病って、実はいろいろな種類があります。
その一つに侵襲性歯周炎があります。
その患者様は発症率は0.05〜0.1%の侵襲性歯周炎だったのです。
侵襲という言葉は、『侵入して、襲うこと』という意味ですから、なかなか重症そうなイメージがすると思います。
そこで、今回は早期発見!治療!がとても大事な侵襲性歯周炎についてお話しします。
侵襲性歯周炎の特徴
- 30歳以下の若い年齢層で発症する
- 40代ごろから始まる一般的な歯周病よりも骨吸収のスピードが速い
- 家族が同じように発症する傾向がある。(侵襲性歯周炎は遺伝的要因が関与しており、家族が同じように発症する傾向があります。 家族は生活習慣が似ていることからも、より注意することが必要です。)
- ある一定の部位(歯)に対して発症する傾向がある (一般的に前歯と第一大臼歯(6歳臼歯)に急激な骨吸収がみられる)
- 全身的病歴との関連性がない(歯周病に対する免疫応答が低下している場合はありますが、全身の免疫が低下しているとは限りません)
侵襲性歯周炎の原因
プラーク中の歯周病原因菌(侵襲性歯周炎に特異性のある菌)が主な原因ですが、発症と進行には遺伝的要因も関与していると考えられています。
また、患者さんの生態防御機能や免疫応答の異常が認められるケースもあります。
侵襲性歯周炎の治療は?
必要に応じて細菌検査を行います。また、慢性歯周病の治療と同じく歯周基本治療を行います。
正しいブラッシングを行いプラークコントロールの徹底を図ります。
またブラッシングでは取れない歯石の除去を目的として超音波チップを用いたスケーリングや、レーザー治療
局所麻酔下で歯周ポケット内に存在する歯石や病的な歯周組織除去を目的としたルートプレーニングを行います。
またそれらの治療と並行して抗生物質の投与(アモキシシリンとメトロニダゾールの抗菌療法(それぞれ250mg、1日3回、7日間)を行うこともあります。
その後に再度歯周ポケットの評価を行ない
高度な歯周組織破壊が起こっている部位に対して歯周外科治療や歯周組織再生療法を行っていきます。
治療後のメンテナンスは?
侵襲性歯周炎は術後のメンテナンスも非常に重要になってきます。
特に歯周組織の破壊が高度に起こったケースだと歯肉が下がるため露出部位のう蝕や歯周病の再発のリスクが高くなります。
また骨吸収による病的な歯牙の移動が生じた場合は矯正治療を行ったり差し歯など被せ物による治療、残念ながら歯の喪失がある場合には義歯やインプラントの治療が必要となってきます。
これらも長期的に維持するためにはセルフケアだけではなく歯科医院でのプロフェッショナルケアが必須です。
さて、初診の患者様ですが抗生剤とレーザー治療により歯肉の腫れを伴う急性症状は落ち着きました。
お話しをしてみると
母親が重度歯周病により早期に義歯になったということでした。
衛生士さんとタッグを組んでしっかり治療を進めていきます。
歯肉の腫れ、口臭、歯の揺れ等 歯周病について不安がある方は
いつでもワンデイデンタルにご連絡ください。