transplant 歯牙移植

天然歯を用いた歯の移植

親知らずを抜かなければならない場合、歯の移植ができないかどうかを今一度考えてみましょう。
歯を抜く基準は、歯科医院によって異なりますが、歯周病治療、歯周組織再生治療、根管治療で保存を試みるのがセオリーです。
しかしそれでもダメなら、親知らずを移植する自家歯牙移植(歯牙移植)を検討してみてはいかがでしょうか。

歯を抜いてインプラントにするというのは、どこの歯科医院でも説明できる治療法ですが、インプラントよりも良いのは自分の歯です。

すでに歯を失ってしまった方でも、親知らずを移植することで、咀嚼効率を大幅に改善することができます。
奥歯が4本ない方でも、親知らずが4本残っていれば適応になる可能性があります。

また、先天的に歯の数が少ないお子さんでも、自家歯牙移植や矯正治療によって、正常な歯列を取り戻すことも可能です。

歯の移植(自家歯牙移植)ができる場合

親知らずが埋まっているイラスト

移植可能な親知らずがある方は歯牙移植が可能になります。

  • すでに奥歯を抜いてしまった場合
  • その場所にインプラントを入れたり、ブリッジを作ろうと考えている方
  • 歯が折れたり、虫歯で倒れたり、根に膿がたまって難治性で歯を抜かなければならない場合

自家歯牙移植のメリット

天然歯とインプラントの決定的な違いは、歯根を覆う組織である「歯根膜」の有無です。
天然歯は、歯根膜からの豊富な血行と細菌に対する自然な防御機能を発揮できるため、口内環境に応じて柔軟に形や位置を変えていきますが、インプラントにはそれがありません。

また、歯根膜は食べ物の感じ方にも影響します。
感覚には個人差がありますが、インプラントではわかりにくい繊細な舌触りや食感を、天然歯で楽しむことができます。

圧覚閾値(感覚を感じるための最小の力)は、天然歯では前歯で1~3g程度、奥歯で4~10g程度と言われていますが、インプラントでは100g以上と言われています。
同様に、天然歯の咬合は25μm(マイクロメートル)の厚さを感知できると言われていますが、インプラントは55μm以上の厚さをようやく感じることができるのです。

歯牙移植のタイミング

歯牙移植のタイミングは、抜歯後即時移植、抜歯後早期移植、抜歯後待ち時間移植に大別されます。

歯の移植では、抜かなければならない悪い歯(移植床)と移植する歯を同時に抜歯して移植するのがベストです。
その理由は、移植床に歯根膜があると歯の状態が悪くても、歯を抜いた穴の側壁に歯根膜が残っていて、傷がついても治癒がすぐに行われるからです。